▽ 生熊耕治(cune/BLUEVINE) × 有村竜太朗 対談インタビュー
9月24日、下北沢シャングリラで開催される
“有村竜太朗+DEMONSTRATIONs Autumn Live2022
「新月令 27.8/singetsurei 27.8」”。
この公演は有村竜太朗にとって、ある意味
“再出発”と言ってもいいのかもしれない。
これまで「新月令/shingetsurei」や「月令/getsurei」と題し、
コロナ禍の中で実験的に配信限定のライブを行ってきたが、
昨年、DEMONSTRATIONsのメンバーとして
バンドを支えてきたギターのhiroが急逝。
新たなスタイルで、そして有観客で
「新月令/shingetsurei」や「月令/getsurei」を行うのは
今回が初となる。前回は新たなサポートメンバーとして、
悠介( lynch./健康)を招いて、有村との対談を行ったが、
今回はゲストギタリストとしておなじみの
生熊耕治(cune/BLUEVINE)が登場。
ふたりの出会いや関わりについて、
じっくり語ってもらった。
――9/24の“有村竜太朗+DEMONSTRATIONs Autumn Live2022「新月令 27.8/singetsurei 27.8」”(@下北沢シャングリラ)のライブにゲストギタリストとして出演する耕治さんですが、おふたりのお付き合いはいつ頃から始まったんですか?
有村:え~と、相当前……20年以上前かな……
もはや俺らもわかってないほど前に遡るんですけど、
Plastic Treeとして初めてツアーに
行き始めたくらいのタイミングですかね。
ちょうど関西に初めて行った時か、2回目くらいの時、
耕治がやってるバンドと対バンしたんですよ。
そこから頻繁に関西のライブハウスから誘われるようになって……。
KYOTO MUSEとか心斎橋ミューズホール(現OSAKA MUSE)とかですね。
その頃はDlociAとかLa:Sadie'sとの対バンが多かったんですけど、
耕治がやっていたKyo-Maiともよく対バンしてて。
その中でも唯一、ちゃんとしゃべってたのが彼だったんです。
俺が覚えているのは、楽屋で並んでメイクしていて、鏡ごしに
「メイク、大変ですよね~」みたいな感じで(笑)
雑談したのが最初なのかな。
その時って打ち上げとかしたっけ?
生熊:したかなぁ……覚えてない(苦笑)。
有村:それが付き合いのいちばん最初かな。
あと、ライブを見ていて勢いがあって、
バンド的にも固まっていたというか、
音楽的なバンドだなっていうイメージでした。
でも、そのうちだんだんプラもワンマンが
増えて対バンが少なくなって。
今みたいに携帯で簡単に連絡を
取るような時代じゃなかったから、
しばらく会えなかったんじゃないかな。
――そこから意気投合するのはもう少し先なんですか?
有村:そこから5年くらい経って、
テレビで音楽番組を見ていたら、すごくいい曲が流れてて、
めっちゃいいバンドが出てるなって思ったんですよ。
cuneってバンドで、当然初めて聞いた名前で。
それを後輩と飲んでいる時に話したら
「あ、俺知り合いっすよ。
今度ライブに行くんで竜太朗さんも行きませんか」
って言ってくれたんです。ライブに行ったらライブもいいし、
演奏も上手いしで、終演後、挨拶しに楽屋に行ったんですよ。
そしたら「あれ?」っていう(笑)。
「え? 耕治?」「竜ちゃん?」みたいな(笑)。
cuneではメイクしてなかったんで、イメージが違ってたんですよね。
PVも見て、ライブも見たのに、気づかなかったんです(笑)。
そうしたら「俺らもいろいろあって、再スタートを切ったんだよね」って。
今は東京にいるっていうから、
「これはもう飲みに行くしかないじゃん」ってなって、
そこからはよく飲みながら近況報告をするようになったね。
生熊:年に1回は会ってるんじゃない?
有村:うんうん、会ってるね。
生熊:僕らはビジュアル系からいったん離れて、
ポップスで勝負して、何とかデビューできたんですよ。
竜ちゃんと再会した時は、たまたま家が近かったんだよね。
普通に近所を歩いていると竜ちゃんが通りかかかって、
そのまま飲みに行ったりしてた(笑)。
――何ともドラマチックな再会でしたね!
有村:ほぼ同期だから、彼の気持ちもすごくわかるんです。
あと、メジャーデビューってバンドにとっては目標のひとつだから、
そこまでたどり着くのもすごいなって。
しかも、やっている音楽が好きなバンドと、まさか昔、
一緒に対バンしてたとはっていうね。
バンドマン同士の情報量ってすごく多いし、
いろんな人と会ったりするんだけど、
ちゃんと話せるようになる人ってごくわずかなんですよ。
すごく運命的なものを感じましたね。
あと、いろんな話をするようになったのって、
ちょうど自分が30歳手前くらいで、
いろいろ悩んでいた時期だったんですよ。
歳も近いし、そういう話はよくしてたかな。
生熊:その頃、東南アジアによく行くって言ってたね、確か(笑)、
有村:ああ、旅行ね(笑)。
ちょうど、ノドにポリープができて悩んでて……。
俺の中では“悩んだ若者は東南アジアに行く”
みたいな考えがあって(笑)。
インドに行けば答えが見つかるみたいなね。
でも、インドのことはよくわからないから、
とりあえずタイに行こうと。でも、耕治は逆で、
俺から見るとすぐにメーターが
振り切れるくらいにアツいんですよ。
だって、話してると
「一音、一音、命を削って出してるからさ」
みたいなことを言ったり。
生熊:は……恥ずかしい(苦笑)。
有村:気迫が伝わるリアルな音楽をやってるなって。
だからすごく影響を受けました。
――タイに逃避する発想とはかなり真逆の(苦笑)。
有村:ふたりではマジメな話をよくしてたと思います。
――同じ時代を駆け抜けてきたおふたりには同志みたいな意識があるのかもしれないですね。
有村:それはあるかな。お互い音楽をやっている中で、
こうして同じステージに立てる機会がある人って、
滅多にいないと思うし。あと、hiroも耕治のことを知っていたんです。
hiroとやってたセッションバンドに耕治も出てくれたりしたしね。
hiroも含めて交流があったんですよ。
hiroが亡くなったタイミングでも耕治から連絡もらったんですけど、
俺のことをすごく心配してくれて。
hiroのお別れ会にもいっしょに行きました。
だから、彼が俺のライブでギターを弾いてくれるっていうのは
すごく自然でしたね。その時点で、今年の3月6日の
ライブまではスケジュールが決まっていたんだけど、
どうしようかなって思ってて。
やっぱり誰かにギターを弾いてもらわなきゃいけないって思った時、
耕治に声をかけようって。小林(祐介/THE NOVEMBERS)くんは
1枚目も2枚目も音源制作に携わってくれていたので、
ライブでも弾いてもらいたいってお願いしたけど、
他の誰かにも音楽を触ってほしいと思った時、
まず耕治にも弾いてほしいなって。
セッションでも音を出したりしてきたから、
ホントに自然にお願いしたっていう感じなんですよね。
正直、まだ自分の中では気持ちがゆらぐこともありますけど、
今はここでこの活動を止めてしまったら、自分的にも残念だし、
hiroと一緒にやったこともなくなっちゃうような気がするので。
――お付き合いの長いふたりですが、敢えて今、リスペクトできる部分はありますか?
有村:ありますよ、俺は!
――何でしょう?
有村:とにかく……アツい!(笑)。
生熊:ははははは!
有村:熱量ですね。猪突猛進というか。
俺自身にも頑固なところはありますけど、
猪突猛進は自分にないところなんで(苦笑)。
音楽に対するとらえ方は同じなんだけど……。
生熊:ああ、確かに。さっきも話が出ましたけど、
僕はビジュアル系からポップスに転換したんですよ。
でも、そういう変化を恐れないタイプなんです(笑)。
そこは昔から一貫してますね。
竜ちゃんの活動もすごく刺激になるし、
やっている音楽もハイセンスだと思うんです。
何ひとつ取ってもブレてないし。バンドもソロプロジェクトも、
他に手掛けていることも、すべて一貫してるなって思います。
そこは僕にない部分なのかな。共通する部分があるとしたら、
1回好きになったら、とことん好きになるところですかね。
バンドメンバーも含めて。竜ちゃんにもそれは感じてます。
何か、ホントにメンバーが好きなんだなっていうのが
伝わってくるんですよ。
――いい話ですね!
有村:はははは!
「ナカちゃん、細かいな」っていうのはあったりしますけど(笑)。
――9月24日のライブでは、またおふたりの関係性がじっくり味わえるステージになりそうですね。では、最後にライブの意気込みを聞かせてください!
生熊:3月のライブに関しては、竜ちゃん自身、
またソロ活動をやりたいのか、すごく迷ってたと思うんです。
だから、またソロでステージに立ちたいなって思ってもらえるように、
自分がどれくらいサポートできるかっていう部分にかけてたんですよ。
そうしたら、ライブの中で「またやります!」って
言ってくれたんで“よかった!”って。
9月24日に関しては、またこのメンバーで
やりたいと思ってもらえるようなパフォーマンスが
できたらいいなと。その上で、来年の竜ちゃんの
ソロ活動に花を添えられたらいいなと思ってます。
有村;ありがたい!
生熊:僕はギタリストとしてずっとやってきて、
歌を始めてからまだ10年くらいしか経ってないんですけど、
それでも、ギターを弾かせてもらったり、
ステージに立つ機会を与えてもらえただけでも
ありがたいと思ってるんですよ。
コロナ禍でなかなかライブもできませんでしたからね。
だから声をかけてもらったことには、すごく感謝してます!
有村:ソロに理由があって、その人と一緒に
ステージに立つと思うから、見ている方たちにも、
そんな俺らの背景まで感じ取ってくれたら嬉しいですね。
――何となくですが、竜太朗さんはギタリストに好かれる傾向にあるような気がします。
有村:あ、俺はもともとギタリストになりたかったくらい
ギターが好きなんです。歌をうたうために
ギターを持ってるって感じだし、
俺自身も単純にギターで表現できる人が好きなのかも。
歌とは違うんですけど、歌うようにギターを
弾くような人っていいですよね。
それはhiroも悠介くんも小林くんも耕治くんも、
関わってくれる人はみんなそんなギタリストだと思います。
生熊:そういえば、前回のリハで、
僕と小林くんのギターバトルみたいな瞬間があったんですけど、
竜ちゃんが喜んで、イヤモニをはずして目の前で見てたよね。
有村:はははは! なんかすごく貴重な瞬間だなと思って。
こりゃもうイヤモニしてる場合じゃないなって(笑)。
――9月24日にもそういう瞬間があるかもしれませんね(笑)。面白い化学変化に期待してます。
生熊:がんばります!
有村:よろしくお願いします!