9月24日、下北沢シャングリラで開催される
“有村竜太朗+DEMONSTRATIONs Autumn Live2022「新月令 27.8/singetsurei 27.8」”。
この公演は有村竜太朗にとって、ある意味“再出発”と言ってもいいのかもしれない。
これまで「新月令/shingetsurei」や「月令/getsurei」と題し、
コロナ禍の中で実験的に配信限定のライブを行ってきたが、
昨年、DEMONSTRATIONsのメンバーとして
バンドを支えてきたギターのhiroが急逝。
新たなスタイルで、そして有観客で「新月令/shingetsurei」や
「月令/getsurei」を行うのは今回が初だ。
本公演ではギタリストに、生熊耕治(cune/BLUEVINE)、
そして新たなサポートメンバーとして、悠介( lynch./健康）
をゲストに迎えて臨むことになる。さっそく新顔のギタリストを迎えて、
このプロジェクトに参加することになったいきさつなどを、
有村と共にじっくり語ってもらった。

 

――9/24の“有村竜太朗+DEMONSTRATIONs Autumn Live2022「新月令 27.8/singetsurei 27.8」”(＠下北沢シャングリラ)からサポートギタリストとして参加することになった悠介さんですが、そもそもおふたりの交流は以前からあったんでしょうか？

竜太朗：すごく前にイベントで対バンして……
　　　　でも、その時は話ができなくて。
　　　　ただ、“lynch.を見てすごくカッコいいバンドだな”と思ったんです。
　　　　それから名古屋で対バンのお誘いがあった時に、
　　　　ライブのあと打ち上げに行って、
　　　　そこで初めてちゃんと話せました。

 

――それがいつ頃ですか？

竜太朗：……いつでしだっけ？(苦笑)。

悠介：いつでしたかね(笑)。そんなに昔ではないと思うんですけど……。
　　　Plastic Treeさんとは名古屋でのイベンターさんが同じなので、
　　　その流れで「Plastic Treeと2マンってどうですか？」
　　　っていう話になったと思います。

竜太朗：で、打ち上げで話してみたら、音楽的な共通項が多かったし、
　　　　プラの音楽もよく聴いてくれてたみたいで。
　　　　それはすごく嬉しかったですね。
　　　　あと、好きな音楽も似ていたりして、
　　　　機会があればまた一緒に何かやってみたいなって思ってました。
　　　　去年亡くなったギターのhiroのバンド(te)も聴いてた……
　　　　って言ってくれてた記憶もあって。
　　　　すごく音楽に詳しいんだなっていうのが記憶に残ってました。
　　　　あと、確かX JAPANさんが中心になってやったフェス
　　　　(VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten」)
　　　　があった時も打ち上げ会場で
　　　　「飲みに行きたいよね」って話をしてて。
　　　　でも、そういうのって社交辞令で終わっちゃうじゃないですか。
　　　　それが悠介くんは「僕は全然行けるんで、明日行きませんか？」
　　　　って言ってくれたんです。

 

――その飲みでは、かなり相互理解が深まりましたか？

竜太朗：ふたりで朝まで飲んでました。
　　　　打ち上げでみんなで飲むことはあっても、
　　　　なかなかサシで飲むってないじゃないですか。
　　　　僕もすごく興味があったし、
　　　　“もっといっぱい話したいな”って思ってたんです。
　　　　その時かな、hiroの話が出たのって。
　　　　とにかくすごくたくさんのことを話しました。
　　　　そんな感じでだんだん距離を縮めていった感じです。

 

――飲みュニケーションは大事ですから(笑)。

竜太朗：僕は結構、お酒でいろいろ物事を決めるタイプなんで(苦笑)。

 

――悠介さんは親しくなる前、竜太朗さんのイメージはどんな感じだったんですか？

悠介：イメージとだいぶ違っていたなっていうのは思いました(笑)。
　　　僕とプラとの出会いっていうと、98年リリースの『Puppet Show』
　　　っていうアルバムなんです。
　　　聴いたのはちょうど僕がオルタナとかグランジが
　　　好きだった頃だったんですけど、
　　　『Puppet Show』を聴いた時、
　　　ビジュアル系なのに洋楽っぽいテイストがあるバンドだなって。
　　　そういうバンドってなかなかいないし、
　　　カッコいいなって感じて衝撃を受けました。
　　　竜太朗さんの歌声ってフワフワしていて浮遊感があるじゃないですか。
　　　それで、普段からフワフワした人なのかなって
　　　勝手なイメージがあったんですよ。
　　　実際お会いしてお酒を飲むようになったら、
　　　全然フワフワなイメージがなくて驚きました(笑)。
　　　話しやすいですしね。もちろん、より好きになりました。

竜太朗：うれしいですね(笑)　
　　　　長く活動していると、ミュージシャンの
　　　　友人も知り合いも多くなるけど、
　　　　ふたりで飲みたい、話したいって思える人には
　　　　なかなか出会えないんですよ。
　　　　彼が聴いてきたグランジとかオルタナは僕も大好きなんですけど、
　　　　ビジュアル系の中でその辺の音楽に詳しい人に
　　　　あまり出会う機会がなかったので。

 

――それで、新しくサポートギターを迎えようとなった時に悠介さんがひらめいたと。

竜太朗：自然とそんな感じでした。でも、返事をもらう前に1回、
　　　　悠介くんとちゃんと話したいなって思って……。
　　　　一緒にやってみたい人、やってもらいたい人に、
　　　　ちゃんと会わなきゃって思ったんですよね。
　　　　それで「飲みにいこうよ」って。

 

――やはり飲みですか(笑)。

竜太朗：そうしたらすごく真摯にいろいろ話してくれて。
　　　　hiroのギターの話ももっと詳しく聴けて嬉しかったし、
　　　　僕としては余計一緒に音を出したいなって思いが
　　　　強くなったんですよね。
　　　　で、正式なライブが決まった段階で、
　　　　出てもらえないかなって話をしました。

 

――悠介さんはこのお話を受けてどう感じましたか？

悠介：hiroさんは僕の中でも好きなギタリストだし、
         プレイも見ているので、
　　　最初はプレッシャーの方が大きかったですね。
　　　竜太朗さんの思いはすごく嬉しかったんですけど、
　　　自分の中ですぐにOKが出せないというか……。
　　　ひとまず「考えさせてください」と。
  　　 それでも改めてオファーを受けた時に、
　　　これだけ声をかけてもらえてるってことはもうやらなきゃ！
　　　っていう気持ちになりました。
　　　だって、先輩から求められることなんて、なかなかないですよね。
　　　最終的には受けさせていただきました。

――竜太朗さんの熱意が背中を推したと！

竜太朗：悠介くんにも自分のプロジェクトの健康があったし、
　　　　大変だろうなとは思ったんですけど、
　　　　どうしてもやって欲しいなって思ったんですよね。

悠介：その気持ちがすごく嬉しかったです。

 

――あとはライブに向けた準備を進めるのみですね。リハーサルはこれからですか？

竜太朗：リハーサルはこれからですけど、
　　　　悠介くんに参加してもらう曲は決まってます。
　　　　その先の準備はこれから詰めていく感じですね。

 

――ギタープレイに関して、竜太朗さんから悠介さんに何か要望はありますか？

竜太朗：自分のソロ・プロジェクトはもともと実験的に始めたことだし、
　　　　Plastic Treeとは違うアプローチでやろうっていう
　　　　コンセプトがあったんです。プレイヤーによって、
　　　　曲がどんどん変わっていくのもアリだと思うんで、
　　　　「ここはこうしてください」っていうものはないんですよ。
　　　　悠介くんにはいろんな解釈をして欲しいです。
　　　　もし曲が変化するなら、その変化を楽しみたいですね。
　　　　僕自身は“この人と音を出したいな”って感じて、
　　　　今まではずしたことがないので！

 

――おおおお！

竜太朗：楽しみです！

 

――これはもうワクワクが止まりませんね。

悠介：竜太朗さんのその直感をはずさないようにしたいです(苦笑)。

竜太朗：はははは！　彼はホントにマジメなんですよね(笑)。

 

――いいことじゃないですか！　悠介さんは健康もやってますし、この先、健康と竜太朗さんで対バンするとか、面白い企画が実現するかもしれないですね。

竜太朗：悠介くんもいろいろ実験的なことをしてるんですよ。
　　　　お互い、そういう活動をしている中で
　　　　一緒にやれるのはすごく嬉しいですね。

 

――そもそも“健康”というプロジェクト名ってかなりインパクトがありますよね。どういう意図があってつけられたんですか？

悠介：これは僕がつけたんじゃなくて相方(松本明人：真空ホロウ)が……。
　　　最初から彼が健康っていう名前を考えて、
         ロゴも作って持ってきていたので、
　　　「じゃあ健康でやろうか」ってなりました(笑)。

竜太朗：不健康そうなふたりが健康っていうのが
　　　　 いいんじゃないですか(笑)。

悠介：実はちょっとした意味合いがあるんです。
　　　不健康な音楽が好きな人を僕らの音楽を聴いて
　　　健康になってもらうっていう思いで。

竜太朗：なるほど！

 

――今後、お互いの感性を刺激しあうこともありそうですね。

竜太朗：あ、いいですね。確かにライブをやることで、
　　　　曲を書くモチベーションにもなりますから。
　　　　ツアーに行きたくなったりしてね。
　　　　まぁ、こういう状況下なので、
　　　　なかなかツアーに出るのも難しいですけど。

 

――息の合ったステージが見られそうなので楽しみです。最後に9月のライブに向けた意気込みを聞かせてください。

竜太朗：ソロはこの前のバースデーライブ(ROOM306)以降
　　　　やってなかったんですけど、あのライブは
　　　　まだhiroが生きている頃から決まっていた
　　　　スケジュールだったんですね。
　　　　そこまではしっかり進めようと……
　　　　DEMONSTRATIONsのメンバーやスタッフとも決めてたんです。
　　　　hiroもライブでは映像で出演できましたしね。
　　　　それが終わったあと、果たしてこの先はどうしようなって
　　　　悩みましたけど、自分の気持ちに素直になってみれば、
　　　　hiroと作った曲は残したいし、
　　　　それならやっぱりやりたい人と何かやってみたいなって。
　　　　これが、自分のソロにとって、
　　　　いい形での再出発になればいいなって思ってるんです。
　　　　僕は悠介くんと一緒に音を出すのを、
　　　　すごく楽しみにしているんです。
　　　　そこで刺激がもらえたら、また曲を作ろうとか、
　　　　何かが生まれていくキッカケになるはずなんで。
　　　　なので、9月24日はすごく大事な日になると思います。

悠介：僕にとっては、hiroさんという存在があったからこその
　　　ライブになると思うんです。出す音が違うのは当たり前ですけど、
　　　hiroさんが残してくれたフレーズはすごく大切にしたいので、
　　　忠実にとまではいかなないでしょうけど、
　　　その部分はちゃんと出したいですね。
　　　それによって、自分自身のスキルも上げられたらいいなって思うし、
　　　さっき竜太朗さんもおっしゃってましたけど、
　　　その再出発に微力でもいいので、
　　　お力添えできたらいいなと。もちろん、僕も楽しみながら、
　　　いいライブになるように頑張りたいです。

 

――当日が楽しみですね。ありがとうございました！